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意識が飛んでしまう

男は原因不明の病に悩まされていた
ある日突然意識が飛んだような錯覚に陥るのだ

デジャブと少し似ているようで違う。
全く初めての状態、景色なのに
それを「以前どこかで見たことがある」と、
ふと感じてしまうような錯覚をデジャブと言うが、
男が悩まされているのは
今まで普通の生活をしていたのに、
突然「自分は今まで何をしていたんだ?」と
我に返ってしまうような錯覚なのだ

それで本当に意識が無くなって、
気づいたら病院にいたというのなら話は分かりやすいが、
実際は何も変化がなく、意識が飛んで倒れたということも無い
今のところ生活に支障も出ていない

しかし、最近になってその錯覚が増えてきた
今まではそんな症状は無かったが、
最近は友人との会話中、仕事中でも起きるようになった

何か重い病気の前兆なのではと怖くなり、
男は医者に見てもらうことにした


「なるほど、これは最近になって認知された珍しい病気ですね」
医者が言った。
「どんな病気なんですか?」
男が尋ねた。

「精神病の一種です。あなたは解離性同一性障害というのをご存知ですか?
いわゆる多重人格というものです。
一つの肉体に複数の人格が存在してしまうのが多重人格なのですが、
この病気は少々特殊で、一つの人格なのに複数の肉体が存在してしまう状態のことです」

「どういうことなんですか?」

「つまり一つの人格が複数の肉体を操作しているような状態なんです。
意識が飛んでしまう錯覚があるでしょう?その錯覚が起こったときに、
あなたは別の肉体を操作しているのです。多重人格は主にストレスが原因で起こるものですが、
この病気はなぜ起きるのか原因が今でも分かっておらず、その患者にも因果関係が無い場合が多いのです」

男は混乱した
意識が飛んでしまう錯覚といっても一瞬で、その間に別の肉体を操作しているとは考えられない
そもそも、自分の体は一つだし、自分も意識も一つなのに別の体があるわけが無い

「本当にそんなことが起こっているんですか?」
「自分は意識が飛ぶのが一瞬だと感じているでしょうが、実際はかなりの時間が経っているのです
そして自覚は無いかも知れませんが、生活に支障が少なからず出ているはずです
別の肉体に意識が移ることは、最近の研究で判明しました」

「どうにかこの症状を治すことができないのでしょうか?」
「安心してください。今はその症状に悩まされているでしょうが、時間が経つにつれ
その症状も少なくなっていき、気がついたらその症状も無くなっていますよ」

医者の言ったことは本当だった
何度も意識が飛ぶ錯覚に悩まされていたが、
時間が経つにつれ徐々に減っていき、ある日を境にその症状がピタリと無くなった
今ではその症状があったことなど忘れて生活している。


ただし、男がその後
街に突如出現したドラゴンや、世界を支配しようとする魔王を退治して
その世界の英雄になった後の話だが。
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