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家出許可証

傍から見れば、そこまで酷い家庭でもなかった。
貧乏ではなく、両親もいて、母親にも慕われている
あえて不満を挙げるとするなら、父親が出張が多く家にいないときが多いのと、
兄妹と仲が悪いことくらいか

しかし少女は自分のその家庭に耐えられなかった
生まれた順番、性別で注ぐ愛情は変わっていくのは自然のことだが、
その不平等さから自分だけは家族に愛を注がれていないと感じてしまっていた
「何で私だけのけ者扱いなの?」
少女はいつもそう考えていた
早く、この家から出たいと思っていた

そんなある日、少女は街の商店街を歩いていると、一つのおもちゃ屋があった
古めかしい、最新のゲーム機などとは無縁そうな外見
ただ少女はそのおもちゃ屋に吸い込まれるように入っていった
おもちゃ屋に置いてある商品を眺めていたら、棚の奥のほうに、まさに自分が探していた「欲しい物」が売っていた

「家出許可証」

少女は全財産を払ってその許可証を買った。


説明書を見ても、難しい用語が多くてあまり理解することが出来なかったが、
大まかな使い方は分かった

「好きな家庭に行ってその許可証を見せると、その家庭に家出することが出来る」

はじめは本当に出来るのか戸惑ったし、少し緊張もした
しかし実際にその許可証を見せたら、戸惑いながらも「どうぞ」と普通に家にあがれるではないか
そこから少女の家出生活は始まった

気がつけば、どのくらい他人の「家族」になったのだろう
思えば色んな家族がいた
結局少女は、ある家庭に落ち着き、家出もすることは無くなった

時は経ち、家出許可証のことも、「本来の家庭」のことも遠い過去のこと
少女は成人して、結婚することになった
子供も出来、母親として新しい家庭を築いて、まずまずの生活を送っていたある日、
一人の女の子がその家庭にやってきた

一瞬不安が頭をよぎったが、その不安は的中した
その女の子は無言で「家出許可証」をかざしたのだ

「なぜ私たちの家に?」「こんな偶然が?」「これは本当なの?」
そんな考えで頭の中が一杯になり戸惑ったが、女は思った

私の本当の母親も、この許可証をもしかして・・・
この街には、家出許可証のコミュニティが出来ているんじゃ・・・
家出許可証を使ったものには、
そのコミュニティの子供を受け入れる義務が発生すると説明書に書いてあったんじゃ・・・

「どうぞ」

女はその子供を見て悟り、その子供を幸せにする決心をした
私たちの家に飽きるその時まで
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ジャンル : 小説・文学

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